静寂ノ声

声にならない叫びをありのまま書きつける。

【旧帝大英語リレー 8/8】2018・東京大学(後半)

旧帝大英語リレー、最終回の東大(後半)です。

前半の記事でお話したとおり、東大はバラエティパックで相当な問題数が詰まっているので2つの記事に分けています。この記事では大問4・5について書いていきます。

 

バックナンバーはこちらからどうぞ。

【旧帝大英語リレー 1/8】2018・北海道大学英語 - 静寂ノ声

【旧帝大英語リレー 2/8】2018・東北大学 - 静寂ノ声

【旧帝大英語リレー 3/8】2018・大阪大学(外国語学部以外) - 静寂ノ声

【旧帝大英語リレー 4/8】2018・大阪大学(外国語学部) - 静寂ノ声

【旧帝大英語リレー 5/8】2018・名古屋大学 - 静寂ノ声

【旧帝大英語リレー 6/8】2018・九州大学 - 静寂ノ声

【旧帝大英語リレー 7/8】2018・京都大学 - 静寂ノ声

【旧帝大英語リレー 8/8】2018・東京大学(前半) - 静寂ノ声

 

 

1.構成

全体の構成については前半の記事に書いてあるとおりですが,いちいちそちらを読みにいくのはめんどくさいと思いますのでここに同じものを掲載しておきます。

  • 大問5題構成だが,大問1・2・4は(A)・(B)の2つのパートに,大問3は(A)・(B)・(C)の3つのパートに分かれているので,全部で10題構成といってもよいかもしれない。
  • 大問の内訳は第1問が文脈把握を問うもの(A:要約,B:文補充),第2問が英作文の力を問うもの(A:自由英作文,B:和文英訳),第3問がリスニング(A~Cで各5問),第4問が英文の分析能力を問うもの(A:語句整序,B:英文和訳),第5問が読解力を問うもの。
  • 制限時間は120分で,リスニングが途中30分間差し込まれるため,実際は大問4つ(7つと言ってよいかも)を90分で片付けることになる。異様なまでの分量からして明らかに短い時間設定。時間はないと思ってよい。

 

2.難易度

今回の記事は第4問・第5問に関するものなので,そこだけについて述べる。

  • 問題のレベルとしてはやや難といえるものがほとんど。これについては第1問・第2問と同様だが,東大は第4問(B)の和訳問題が比較的易しいことが多く(それでも標準レベル),今年度もここの問題は易しめであった(つまりは標準レベル)。
  • 今年度は第4問(A)に語句整序が出題された。同様の形式は2015年にも出されていたが,かなり難しかったその時と比べると若干難易度が下がった。ただ今回解いた中ではここが一番難しかった印象

 

3.気になった問題

今回は第4問(B)の和訳問題について書いていく。記事を短くするために下線部のみを抜き出すが,本来は全文を読んで解くものであることに注意されたい。

 

(ア) やや易

That's roughly 30 to 60 live birds per person.

ここの問題は,直前の文脈が「地球に鳥って何羽ぐらいいるんだろう?? 調べてみたら2000~4000億羽ぐらいだってわかった」という風になっていることを踏まえたものなので,Thatが指す内容は直前の2000~4000億羽という値。

よってここを訳すならば以下のようになるだろう。

それはざっくり言うと人間1人に対して30~60羽の生きた鳥がいるということだ。

文脈を読んでない場合は「生きた鳥がいる」という部分を補えないからここで点数をあげていいかどうかがすぐわかる。東大も考えたね。

なお,私はここにもう少し手を加えて以下のような解答を書いた。参考までに。

それは,人間の約30~60倍の鳥が地球上に生きているということだ。

 

(イ) やや難

This, to my mind, makes it all the more surprising that many of us have found it hard to swallow the idea that birds may be bright in ways we can't imagine.

この問題はswallowが訳出しづらい。"makes it all the more surprising"のitは後ろのthat節の内容を受ける仮目的語で,all the 比較級は「~だからなおさら」。どちらも高校1年生レベルの基本的なものだが,前の部分とうまくつなげるのが難しい。

あえてswallowを訳さずにざっくりと解答を作ってみる。

このため,多くの人が鳥は私たちの想像できない方法で賢いという考えをswallowすることが難しいと思っているのが,私にとっては驚くべきことである。

ここで,前後の内容を把握すると筆者が「進化は必ずしも発展じゃないんだよ」「鳥はちゃんと学習してる」ということを言っているので,「鳥が人間に想像できない方法で賢い」ということを筆者は肯定していることになる。「多くの人」はそれと反対の立場にいるわけだからこれを踏まえるとswallowの意味は「認める」というようなものになるだろう。

あとはこの訳を利用して解答を作り上げればよい。以下,私が最終的に仕上げた解答を書いておく。

このことがあるから,鳥が私たちの想像を絶するようなところで賢明だという考えを多くの人が受け入れがたく思っていることに私は驚いた。

 

(ウ) 標準

Even when their mental powers don't quite match or mirror our own complex thinking, they often contain the seeds of it --- insight, for instance, which has been defined as the sudden emergence of a complete solution without trial-and-error learning.

この問題は,mental power(知力),not quite ~(必ずしも~ない)の部分が少し訳しにくいのを除くとあまり訳出に困る語句はないだろう。trial-and-errorという部分は,もし初見だったとしても,試してみて失敗してということだから最終的な「試行錯誤」という訳語がすっと出なかったとしても意味は取れる。ただ,構文が少し把握しにくいところがあり,実力差が現れる。

以下,私の解答を書いておく。

鳥の知力が私たち人間の複雑な思考に匹敵しなかったとしても,鳥はそのもとになるものを持っていることがよくある。例えば洞察力があり,試行錯誤による学習を経なくても完全な解決方法がすぐに思いつくことと定義されている。

 

 

以上です。

これにて旧帝大英語リレーは終わりです。

終わるまでに約1か月使ってしまいましたが,お付き合いいただきありがとうございます。

こういった企画をまたすることがあるかと思いますが,その際もぜひ。

では!

 

P.S.

まとめの記事をまた作るかもしれないし作らないかもしれない。