静寂ノ声

声にならない叫びをありのまま書きつける。

【旧帝大英語リレー 6/8】2018・九州大学

旧帝大英語リレー第6回は九州大学です。

前回の更新(3/6)から1週間も空いてしまいました。

実はその間北の国から某氏をお迎えして5日間ほど関西周遊の旅を楽しんで頂いていました。楽しんでいただけたようで何よりです。

 

さて本題に戻りましょう。これまでの記事をご覧になりたい方はこちらからどうぞ!

【旧帝大英語リレー 1/8】2018・北海道大学英語 - 静寂ノ声

【旧帝大英語リレー 2/8】2018・東北大学 - 静寂ノ声

【旧帝大英語リレー 3/8】2018・大阪大学(外国語学部以外) - 静寂ノ声

【旧帝大英語リレー 4/8】2018・大阪大学(外国語学部) - 静寂ノ声

【旧帝大英語リレー 5/8】2018・名古屋大学 - 静寂ノ声

 

 

1.構成 

  • 大問5題構成。内訳は長文問題×3、自由英作文×1、和文英訳×1。
  • 長文問題は3題とも論文・エッセイ型。そのうち1題は設問文が日本語で残りの2題は設問文が英語。ただし、解答は日本語で書くものがほとんどなので設問文が英語になっている意味はほとんど無い。
  • 制限時間は120分。長文が3本あることを考慮しての配分だろうが、3本とも見開き2ページ程度で設問も素直なものが多いので、時間には余裕があると思っていいだろう。

 

2.難易度

  • 長文はセンターの中でやや難しいレベル。最近で言うなら2016・本試験の大問4-Aと同じぐらいのレベル。
  • 設問は素直な問題が多く総じて標準レベルだが、内容説明の問題はどこまで答えるべきか悩むものもあるので北海道大学のようにすべてが軽く解けるようなものではない。
  • 自由英作文は「日本社会はこの先支援が必要となる年配の人を助けるために何ができるか」というやや書きにくいテーマで、語数も100語と少し多めなので苦労したかもしれない。
  • 和文英訳は旧帝大の中では易しめだが、それは大阪大学(おもに文学部 / 外国語学部)や京都大学(次回)の例があるためで、国公立大全体で見ると標準以上。(1)と(2)では(2)のほうが長いが、難易度では(1)のほうが難しく感じられた。

 

3.気になった問題

第1問の問3を紹介する。

 

「第3段落では、火星の水に関してどのような事実と推論が示されているか、80字以内の日本語で述べ」るという問題。一見すると簡単そうだが、この問題の解答根拠になる第3段落を見ると、この問題の難しさがわかる。

以下第3段落を引用する。

We also lack a complete understanding of Mars's history. We see signs of past water all over its surface and in its chemistry, and so think it was once much warmer than it currently is in order to support liquid water. However, we are not sure how this waterworld changed into the dry lump we see today. To support widespread water and warmth, Mars's atmosphere must have been very thick during the planet's youth (probably facilitated by a far stronger magnetic field). Where did it all go?

この問題は、「事実」と「推論」を述べろという風に言っているから、解答のフレームワークは「~~~という事実と………という推論」というふうになっており、thinkに注目すればどこからが推論かはわかる。ただ、その「推論」部分をどこまで書くべきかはかなり悩ましい。

引用文で赤字で示した部分だけを書いて80字を埋めることも可能だが、赤字部分と関連した青字のフレーズもできれば入れたい。ところがここまで入れるとかなり上手に解答をまとめないと80字におさまらなくなってしまう。

 

恐らく受験会場で書く解答としては赤字部分をまとめ上げて確実にある程度の点数を取るのが得策だと思われるが、完全な解答を書こうと思えばこの2つを合わせてまとめ上げる必要があるだろう。以下、私の解答を記しておく。

 

絶起用マシンの解答

火星に以前水があったという事実と、火星には創生期に強力な磁場に支えられて非常に濃い大気があったことで気温が現在より高くなり水が液体で保たれたのだろうという推論。(80字)

 

他の予備校の解答も掲載しておく。

 

駿台

火星の地表全体と組成中に水があった痕跡があるという事実と、水が液体で存在するにはできたばかりの火星今よりも温暖厚い大気に覆われていたのだろうという推論。(80字)

 

代ゼミ

火星の表面や化学的性質に過去に水があった痕跡が見られるという事実と、現在より高い気温密度の濃い大気の存在により水が液体で存在し広範囲に分布していたという推論。(80字)

 

河合塾

かつて火星に水が存在したことが、火星の表面から見てとれるので、火星は、水を液体として維持できるほど現在よりもずっと温暖だったと考えられている。(77字)

 

東進

火星の表面全体や化学的性質には以前水があった痕跡が確認できることから、火星はかつて、液体状態の水を保持できるほど、現在よりはるかに温暖だったと推測される。(77字)

 

解答タイプとしては、私(絶起用マシン)・駿台代ゼミは「~という事実と…という推論」という形で書いており、根拠もほぼ同じ()。河合塾と東進は「~~ということから……と考えられる」という形で書いており、根拠もほとんど同じ()。派閥かよ。

 

 

以上です。次回(第7回)は京大です

大学入試の英語の中ではもっとも難しいと個人的に思っている京大です。

おたのしみに。